人違いレッドカード(家本主審)
巷で話題になった、人違いレッドカード。
誰が見ても明らかな誤審で、レッドカードで退場で、かつそのまま決勝点が入るというキャッチーな内容でした。
家本主審
家本さんと言えば、知る人ぞ知る日本のトップレフリーの1人です。
正式には、プロ契約を結んでいる、プロフェッショナルレフリーであり、国際審判を務めたこともある、文字通り日本を代表する審判の1人です。
審判には珍しく、情報発信にも前向きのようで、上記の本はとても興味深い内容ですし、以前はFacebookのアカウントなどもあったようです。
(誤審で炎上した際に、Facebookは閉じたようですが、非常に残念です)
年代的には熟練の域に達しており、実際に見たいくつかの試合では、安定のパフォーマンスを見せていました。
問題のシーン
2人のDFの間をFWが突破しようとしている中で、ペナルティエリア直前で倒されたシーン。
気になる点は3点
- ファールかどうか
- カードか
- 退場者をどうして間違えた?
ファールかどうか
まずビデオを見て気になったのは、そもそもこれはファールかどうか、という点。
横や前からのビデオは、お互いに体を入れようとして、DFはFWの斜め後ろから正当なチャージをしているようにも見える。
ちなみに、足は引っかかっていない。
一方で、後ろから、ほぼ主審の視点に近いビデオだと、手で背中を押しているように見える。
そのまま倒れている流れを見ても、プレーに影響していると判断するのは妥当だろう。
カードかどうか
ファールだとすると、カードが気になる。
得点機会阻止になるのはほぼ間違えなく、あとは黄色か赤かというとこだろう。
反対側のDFも追いついていないと見るのが妥当で、レッドカードも仕方のない。
退場者をどうして間違えた?
私の少ない審判経験からの推測でしかないが、、、
ファールがあった瞬間、おそらく家本さんはファールと判定し、カードの色を考えていただろう。
ビデオをよく見ると、カードを出すと決めてから視線は何か右側(副審?)を見て、プレーヤーから目を切っている。
プレー中に、背番号が見えないことはよくあるので、プレーの後も追いかけていないと、対象者を見失ってしまうことはよくある。
と言うか、私の多くの課題の1つでもあり、これはこれでとても難しい。
なので、推測ではあるが、考えながらカードを出そうとした中で、対象者の背番号を確認しないまま目線を切ってしまい、見失ったと言うのがまず1点。
次に、副審に相談し、副審の助言を元に誤った選手にカードを提示してしまったのだが、副審は副審でDF2人、FW1人が重なったややこしい状況の中で、オフサイドラインを維持するのに精一杯で、背番号が見えなかったのではないか。
特に、このシーンでは、反則を犯した選手は、副審からは一番遠いサイドの選手になる。
副審がうまく主審をサポートせずに、むしろミスリードしてしまったのは大いに反省すべきことだと感じていると思うが、実際に副審が見ておくべきと言うのもちょっと大変なシーンであったようにも思う。
なので、やはり判定の瞬間に家本さんがしっかり見ていなかった時点で、このミスは避けられなかったのではないかと思わざるを得ない。
最後に
家本さんは、何かと話題になる審判ではあるし、「また家本か!」のように言われることだろう。
個人的には、今回のミスは初歩的でやってはいけないことではあるし、家本さんのレフリングは参考にしている部分もあるので、大変残念だ。
でも、反省は反省として、それ以外の目立たないところで抜群のレフリングをしている試合もあるので、そこをトータルで考えてコメントしてあげてほしいなと思う。
にしても、家本さんでもこのような初歩的なミスをすると言うのが、何よりも驚きで、ある種新鮮な出来事でした。